葛飾北斎
かつしかほくさい

冨嶽三十六景　相州梅沢左
ふがくさんじゅうろっけい　そうしゅううめざわのひだり

天保初期(1830～34)頃、大判錦絵、［島根県購入分］

Katsushika Hokusai
The series Thirty-six views of Mt.Fuji (Fugaku sanjūrokkei) : Umezawa manor in Sagami province
[Purchased by Shimane prefecture]

富士の麓に五羽の鶴が群れ遊び、二羽の鶴が富士へ向かって飛んでいます。長寿の象徴である鶴と信仰の対象であった富士の組み合わせは、「吉祥図」を意図したものでしょう。藍を基調とした冴え冴えとした画面は現実感に乏しく、富士を山深い神仙境のイメージで捉えているようです。分かりやすく縁起の良い図像を欲する購買層を意識した一図と思われます。なおタイトルの「梅沢左」は「梅沢庄」の誤刻と考えられています。