葛飾北斎 相州仲原

葛飾北斎
かつしかほくさい

冨嶽三十六景 相州仲原
ふがくさんじゅうろっけい そうしゅうなかはら

天保初期(1830~34)頃、大判錦絵、[島根県購入分]

Katsushika Hokusai
The series Thirty-six views of Mt.Fuji (Fugaku sanjūrokkei) : Nakahara in Sagami province
[Purchased by Shimane prefecture]

仲原は現在の平塚市中原のことで、その北西方面に霊山大山と富士を望むことができます。この霊山には江戸の威勢の良い男衆が参詣し、特に旧暦6 月後半から7 月に賑わいました。ただ本図では、そうした大山詣で活気づく時期ではなく、秋の鄙びた情景が捉えられています。巡礼の親子、六十六部、農婦ら多くの人々を登場させながらも互いに視線を交わさぬ様が、一層寂寞とした印象を観る者に与えます。

 
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