小枝繁・作 葛飾北斎・画
さえだしげる かつしかほくさい
『復讐奇話 絵本東嫩錦』
ふくしゅうきわ えほんあずまふたばのにしき
文化二年(1805)、半紙本、五冊、[永田コレクション]
Saeda Shigeru (author) Katsushika Hokusai (artist)
Brocade of the young greens of the East (Fukushū kiwa ehon azuma futaba nishiki)
[Nagata Seiji collection]
江戸後期を代表する戯作者・小枝繁の初作。北斎もまた読本挿絵の制作を本格的に始めた時期の作で、緻密で大胆な構図や薄墨の重ね摺を効果的に用いて、臨場感あふれる挿絵を寄せています。図は、無実の罪で殺された惣太の怨霊が、妻と浮気相手の寝所に現れた場面で、後に北斎が読本挿絵で数多く描いた幽霊図の初例に当たります。薄墨を重ねた雨風が緊迫感を生んでいます。