葛飾北斎
かつしかほくさい
雲龍図
うんりゅうず
天保十二年(1841)、紙本墨画、一幅、[永田コレクション]
Katsushika Hokusai
Dragon in clouds
[Nagata Seiji collection]
龍が黒雲の中から出現する様を墨一色で描いています。龍の胴や鱗には、わずかな陰影が付され、龍の生々しい質感や立体感までとらえています。同様に黒雲でも濃墨から薄墨への階調により、雲自体の立体感や雲内部への奥行きを表現しており、北斎の用筆の巧みさが窺えます。なお「試筆八十二翁卍」の落款から、天保十二年(1841)の正月に筆始めとして制作されたことが分かります。