葛飾北斎
かつしかほくさい
月みる虎図
つきみるとらず
天保十五年(1844)、紙本着色、一幅、[永田コレクション]
Katsushika Hokusai
Tiger looking up at the moon
[Nagata Seiji collection]
雲間にのぞく月を、虎が穏やかな表情でうっとりと見上げているようです。描法はやや独特で、全体の輪郭や縞模様を濃い墨で渇筆気味に描き、その周囲に引いた薄墨の滲みを活かして、毛の質感や立体感を巧みに表しています。なお画面右上にみられる幾筋かの太く粗い線は、紙を敷いた際の畳の目の跡で、霞がかかった夜空に面白いアクセントを生んでいます。
読み方:渇筆=かっぴつ/滲=にじ