葛飾北斎 狐の嫁入図

葛飾北斎
かつしかほくさい

狐の嫁入図
きつねのよめいりず

天保十五年(1844)、絹本着色、一幅、[永田コレクション]

Katsushika Hokusai
Fox-bride's wedding procession
[Nagata Seiji collection]

日が照っているのに雨が降る気象を「狐の嫁入」と呼び、その時には狐たちが嫁入行列をしているという伝承があります。本作品の近景では、急な雨に、慌てて洗い張りの板を屋内に運び込む母子らの姿が描かれています。そんな日常の情景の一方、奥の土手では、静謐で厳かな狐の行列が浮かび上がっています。西洋風の細やかな明暗が不思議な実在感を生み、現実と幻想の情景を巧みに融合させています。

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