葛飾北斎 曙艸(吉野山花見)[津和野藩伝来摺物]

葛飾北斎
かつしかほくさい

曙艸(吉野山花見)[津和野藩伝来摺物]
あけぼのぐさ(よしのやまはなみ)

寛政九年(1797)、摺物、[永田コレクション]

Katsushika Hokusai
Akebonogusa : Courtiers admiring the cherry blossoms at Yoshinoyama (Surimono formerly owned by the Tsuwano clan)
[Nagata Seiji collection]

津和野藩(現・島根県津和野町)藩主・亀井家に伝来した貼込摺物帖より、北斎の摺物118点と北斎門人の摺物26点、計144点が永田コレクションに収められています。北斎の摺物は、稀少な春朗期の摺物3点の他はいずれも「宗理様式の時代」(数え35歳~46歳頃)のもので、宗理へ改名した寛政七年(1795)から同十二年(1800)までの毎年の摺物を網羅しています。摺物に傾注した当該期の様式展開を概観できる点、加えて保存状態が良く、制作当初の美麗な色彩を残す点から、北斎に関する第一級の摺物群といえるでしょう。
 本作品はその内の一図で、曙興兼の名披露目のための狂歌摺物です。「丁巳の春三月」とあり、寛政九年(1797)三月の版行と分かり、歌垣真顔、浅草市人、錢屋金埒、大屋裏住ら錚々たる狂歌師が名を連ねています(関連画像)

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