伝・円山応挙
まるやまおうきょ
浜海高楼之図
はまうみこうろうのず
宝暦期(1751~64)頃、紙本着色、[新庄コレクション]
Attributed to Maruyama Okyo
Peep-show pictures, Hight tower at sea side
[Shinjō Jirō collection]
稀少な肉筆眼鏡絵の作例です。眼鏡絵とは、のぞき眼鏡と呼ばれる装置で用いられた絵です。遠近感を強調して描かれたこの絵を凸レンズ越しに眺めると、奥行きや立体感を感じることができました。この眼鏡絵の原画を、若き日の円山応挙が描いたとする伝承があります。
本作品は、右端の中国風楼閣に顕著にみられるように描写は極めて緻密で(関連画像)、手前から奥への遠近表現も的確です。中国蘇州辺で制作された眼鏡絵からの影響が考えられています。本作品の楼閣とよく似た図を歌川豊春が浮絵で描いており、舶載や和製の眼鏡絵が後の風景版画の展開に多大な影響を与えたことが知られています。