歌川広重
うたがわひろしげ
東海道五拾三次之内 箱根 湖水図
とうかいどうごじゅうさんつぎのうち はこね こすいず
天保五~七年(1834~36)頃、大判錦絵、[新庄コレクション]
Utagawa Hiroshige
The series Fifty-three stations of the Tōkaidō highway (Tōkaidō gojū-san tsugi no uchi) : Hakone, lake contours
[Shinjō Jirō collection]
東海道の53の宿場に、出発地の日本橋と終着地の京都三条大橋を加えた全55図から成る揃物で、俗に「保栄堂版東海道」と呼ばれています。折からの旅行ブームを背景に大評判となり、広重の出世作となりました。
その内の「箱根」には、副題に「湖水図」とあるように左に芦ノ湖が描かれますが、一際目を引くのは中央の山塊です。この圧倒的な存在感を誇る山に対し、大名行列は細い谷間にすり潰されそうなくらい小さな存在として描かれており、難所として知られた箱根越えの厳しさが伝わってきます。山肌に見られる、色面をモザイク状に組み合わせた特徴的な表現は、中国山水画や昇亭北寿の作品などに先行例があります(関連画像)。