歌川広重
うたがわひろしげ
木曾海道六拾九次之内 洗馬
きそかいどうろくじゅうきゅうつぎのうち せば
天保七~八年(1836~37)頃、大判錦絵、[新庄コレクション]
Utagawa Hiroshige
The series Sixty-nine stations of the Kisokaidō highway (Kisokaidō rokujū-kyū tsugi no uchi) : Seba
[Shinjō Jirō collection]
木曾の原野を流れる奈良井川、そこに浮かぶ柴舟と筏を、中天にかかる満月が照らしています。画面上辺の墨のぼかしが次第に迫りくる夜の気配を漂わせ、たなびく雲のような淡藍と紅の重なりが、日没直後の地平線に残る夕陽の余韻を見事に捉えています。柳の葉や薄を揺らす秋風まで感じさせる、日本風景版画史上の傑作と評される作品です。