「阪急百貨店古書市の際、杉本梁江堂の御爺さんが私にそっと之の図を出し「これが今日の御土産です」と渡された。いつも多少値は高いが、ホントウによいものばかり私の所へ残して貰っていて杉本老の事は忘れ得ない。」(「図録メモ」より) |
「私は投機ではなく、絵にほれて買う。だから足繁く通ううちに、業者もそれを理解してくれて、いいものを用意してくれるようになりました。」(「山陰中央新報記事」より) |
小林清親
こばやしきよちか
(鷲と猟師)
(わしとりょうし)
明治十三年(1880)頃、大判錦絵二枚続、[新庄コレクション]
Kobayashi Kiyochika
Eagle and Hunter
[Shinjō Jirō collection]
左下「彫刻英吉」は彫師井上英吉のこと。銅版画や木口木版が線の集積で面を表現するように、板目木板である本作品でも密度ある平行線が高い彫技で幾重にも施され、鋼のような硬質な線が水流表現にまで及んでいます。他の清親の動物画の例で、30回を超す摺りで仕上げられていたことが知られており、本作品でも絵師である清親、彫師、摺師の執念が感じられるようです。