「広重の近江八景は揃えるのに10数年かかったが、北斎のそれは手の切れるような美しいものが8枚揃って一度に入手出来た。」(「私と浮世絵」より) |
「この新版近江八景は保存、摺、色彩共稀に見る優品揃で貰った時の嬉しさは生涯忘れられんだろう。長年各地で展覧会を見ているがこの揃は見た事がない。実にラッキーだった。」(「図録メモ」より) |
葛飾北斎
かつしかほくさい
新板近江八景 堅田の落雁
しんぱんおうみはっけい かただのらくがん
文化(1804~18)中期、中判錦絵、[新庄コレクション]
Katsushika Hokusai
The series Newly published eight views of Ōmi (Shinpan ōmi hakkei):
Descending wild greese at Katada
[Shinjō Jirō collection]
近江八景は、中国山水画の画題・瀟湘八景に擬えて、琵琶湖南岸に想定された8つの景勝地で、名所絵の好画題として多くの絵師が描きました。本揃物はいずれも、各景を象徴する風物を高い視点から見下ろすようにして描いており、空間の前後関係を示すための紅のすやり霞が印象的です。北斎壮年期の作画活動では西洋絵画に学んだ洋風風景画が知られていますが、その一方で本揃物のような伝統的な風景表現も手がけていました。
読み方:瀟湘八景=しょうしょうはっけい