「71年夏、セーヌ川のほとりで。ノートルダムからセーヌ川を渡ったほとりに小さい店があり、その3階に老婆が沢山の浮世絵をもっている所を偶然に見つけ、ウブなものばかり5、6点入手出来た。全くの幸運であった。「之も日本では新発見でしょう」-楢崎[宗重]先生。」(「奉書紙メモ」より) |
歌川広重
うたがわひろしげ
(松島)
(まつしま)
天保(1830~44)後期、団扇絵、藍摺絵、[新庄コレクション]
Utagawa Hiroshige
View of Matsushima
[Shinjō Jirō collection]
外題はありませんが、湾内外に多くの島が点在する松島の景と考えられています。広重は数多くの団扇絵を手がけましたが、このような藍摺の諸国名所絵の作例はあまり多くありません。同じ版元・丸屋甚八より出版され、署名や筆跡も似た同趣の藍摺団扇絵が複数あり(ポーランド・クラクフ美術館《三保の松原の景》など)、夏らしい涼しげな団扇絵として売り出されたのでしょう。
読み方:団扇絵=うちわえ