「ロンドン・ケガンポールで、71年夏[に購入]。初摺大珍品。[広重の]大短冊は32、3種といわれているが、藍摺はこの一点だけ。」(新庄二郎「台紙記載直筆メモ」より) |
「ロンドンでも有名な古本屋に沢山並んでいて広重の大短冊の珍品の初摺を見つけた時は飛び上がる程嬉しかった。」(「私と浮世絵」より) |
「広重の花鳥短冊類は日本ではあまりもてないが、欧米では非常に尊敬、重視されて値も高い。」(「図録メモ」より) |
歌川広重
うたがわひろしげ
(枇杷に小鳥)
(びわにことり)
天保(1830~44)前期、大短冊判錦絵、[新庄コレクション]
Utagawa Hiroshige
Loquat and little bird
[Shinjō Jirō collection]
背景を藍摺として小鳥と枇杷を白く抜いており、その鮮やかなコントラストが美しい一図。約30種知られる広重の大短冊判花鳥画の中で唯一の藍摺絵の作品です。当初は若林堂(若狭屋与市)が出版しましたが、後に喜鶴堂(佐野屋喜兵衛)へ版権が移ったらしく、喜鶴堂版が多く伝存しています。新庄コレクション本は希少な若林堂版(初摺)で、1971年に新庄二郎がロンドンの古書店で入手しました。
読み方:藍摺=あいずり