「銀座三越に展示中、内山晋先生から歌麿の大首絵と交換を申し込まれたが、余りの意外にお断りした。其の秋、板橋美術館オープン。内山先生の「木曾海道展」拝見して交換御申出の真意を知った。」(「奉書紙メモ」より) |
溪斎英泉
けいさいえいせん
木曾街道 板橋之駅
きそかいどう いたばしのえき
天保六年(1835)頃、大判錦絵、[新庄コレクション]
Keisai Eisen
Sixty-nine stations of the Kisokaidō highway
(Kisokaidō rokujū-kyū tsugi no uchi) : Itabashi
[Shinjō Jirō collection]
《木曾海道六拾九次之内》は中山道を舞台とした揃物で、はじめ溪斎英泉が描き、後に歌川広重が引き継ぎました。北斎に私淑した英泉は人物画を得意とし、本シリーズでも多くの魅力的なキャラクターを登場させています。日本橋を出発して最初の宿駅である板橋を描いた本作品でも、旅人にすり寄る駕籠舁、それにニヤニヤしながら応える旅の男、立場茶屋で馬用の新しい草鞋を買って付け替えている馬子の後ろ姿など、表情や仕草が実に豊かです。
読み方:駕籠舁=かごかき/草鞋=わらじ