「昭和47年、第二回浮世絵世界大会が東京で開催され、肉筆は36点だけ出品され、幸いにも本図も其の中の1点に加えられた。懐月堂安度の武者絵は極少数のもの。しかもこれ程筆勢あるものは珍しい、とは楢崎[宗重]先生談。」(「図録メモ」より) |
懐月堂安度
かいげつどうあんど
武田信玄図
たけだしんげんず
宝永~正徳期(1704~16)頃、絹本着色、[新庄コレクション]
Kaigetsudō Ando
Image of Takeda Shingen
[Shinjō Jirō collection]
江戸時代には、本作品のような武田信玄の軍陣影がよく描かれました。日輪の前立をつけた諏訪法性の兜をつけ、鎧の上に緋色の法衣を羽織り、虎皮に坐す姿です。鮮麗な色彩による装飾的で平板な体が、わずかに陰影を施された眼光鋭い面貌を際立てています。「日本戯畫懐月堂図之」の署名と「安度」印があり、美人画で知られる懐月堂安度の珍しい武者絵の作例です。新庄自慢の蒐集品で、第二回浮世絵世界大会(1972年)に出品されました。
読み方:諏訪法性=すわほっしょう